巡礼を始める前に
インターネットの普及により、観音霊場の場所や寺院の由来など簡単に調べることができるようになりましたが、
観音巡礼を始める前は、巡礼の作法や順番、服装など、色々と不安になることが多いと思います。
逍遥紀行と逍遥ブログでは、できる限り分かり易く
西国三十三所巡礼や番外札所について解説していますが、インターネットでの情報以外に書籍などでも情報収集
されることをお勧めします。
また、各観音霊場でも西国三十三所巡礼や寺院のパンフレットをいただけますので、ご活用されるといいと思います。
私は書籍以外に、西国三十三所 札所会事務局が出している「西国三十三所 草創1300年」パンフレットを活用しました。
お薦め書籍
西国三十三所をめぐる本 |
これから西国巡礼の旅をはじめようとされる巡礼初心者の方には、西国三十三所札所会公認のこの本をお勧めします。
この本はJR西日本の「駅からはじまる西国三十三所めぐり」の公式ガイドブックでもあります。
内容は西国巡礼の歴史や背景、巡礼方法の基本的な流れ、寺院の見所など挿し絵や写真で分かりやすく書かれています。
私も巡礼の時は必ず持参しました。 ただし、この本はJR中心に記載しているため、駅からのアクセスが基本となっています。 そのためマイカーで巡礼される方々にとって、この本の地図はとても分かり難いです。 ※本書に附属するスタンプラリーは2022年3月31日に終了となりました。 |
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西国三十三所札所めぐり(観音巡礼ルートガイド) |
各観音霊場の由来や歴史について詳しく記述されています。境内図で寺院内の巡り方も記載されています。 寺院周辺の詳細地図や駐車場情報(台数情報有)、拝観時間、納経時間などマイカー巡礼に役立つ情報が充実しています。 また、次に札所へ行く途中にある観光スポットやレストラン、売店、入浴施設などの情報も、マイカー巡礼者にはありがたいです。 掲載されている写真が美しく、巡礼後も思い出を楽しむのに利用できます。 |
西国巡礼(三十三所の歴史と現代の意義) |
西国三十三所札所会監修。三十三所寺院の紹介はもちろん、観音巡礼の黎明期から現代までの歴史を追いながら、各時代の 巡礼思想や哲学、経済的な背景までを紹介しています。写真はありませんが、美しいイラストでイメージが膨らみ、ガイドブック を超えた味わいのある一冊です。 |
西国三十三所(草創1300年記念) |
西国三十三所札所会監修。西国三十三所 草創1300年を記念して出版された書物。 1寺院4ページで紹介しており、各寺院の概要・概説・略歴・見所・寺院までの簡単な地図や 公共交通機関、駐車場有無、スイーツ巡礼、食事処など幅広く簡潔に案内しています。 また三十三所以外に、3つの番外札所と高野山、善光寺も紹介されていますのでお礼参りにも参考になります。 |
西国三十三所(結縁御開帳 公式ガイドブック) | 西国三十三所札所会監修。花山法皇没後1000年(2008年)を記念して秘仏の御開帳がされました。 それら各寺院の秘仏を写真入りで詳しく紹介しています。日頃お目にかかれない秘仏の写真が掲載されているので貴重な書籍だと思います。 また、花山法皇と西国三十三所の歴史などの概説も記載されているので、西国三十三所めぐりを勉強するにもいいと思います。 |
準備物
必需品
納経帳 (のうきょうちょう) |
西国三十三所巡礼では、御朱印をいただく帳面を納経帳といいます(御朱印帳と納経帳の違いについてはこちら)。 様々な納経帳がありますが、紙が薄いものは、御朱印が裏に染み出てしまいます。少し重いかもしれませんが、しっかりとした物を選ぶことをお勧めします。 写真の納経帳は私も使っているもので、最初の方のページには「三禮」「懺悔」「三帰 三竟」「開経偈」「般若心経」が挿入されています。 また、見開き右側に御詠歌、左側が集印用の無地のページになっています。紙質も良くお勧めできる納経帳です。 |
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散華台紙 | 御朱印をいただく時、紙製の蓮の花びらに文字を書いた散華(さんげ)をいただけます。 散華は寺院毎に異なるため33枚をいただけることになります。 これら33枚の散華を張り付けるための台紙が散華台紙です。 (西国観音霊場散華帳についてはこちら) |
巡礼に付き物
経本 (きょうほん) |
経本とは「経文(きょうもん)」(お経)を書いた本のことで、 独特な製本方法を取り、経折りという折り本になっています。 お経は覚えていてもできるだけ経本を持ち、経文を目で追いながら読誦するのが基本です。 |
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納札 (おさめふだ) |
納札は観音様にお参りの報告をするものです。住所、氏名、日付などの記入し、各霊場の納札箱に納めます。 四国八十八ヶ所霊場は巡拝の回数によって色の違った納札を納めますが、 西国三十三所観音霊場は何巡目でも白札です。 なお、昔は名前を彫った木札を寺院の柱に打ち付けて願掛けをしていましたが、 現代は紙の札を納めることになっています。 参拝の証として御朱印帳以外に納札を納めるのも記念になります。 |
念珠 (ねんじゅ) |
念珠とは珠(たま)を一つ繰る毎に仏を念ずることが由来します。 毎回の支度のことを考えると、巡礼用に1つ念珠をご用意されることをお勧めします。 合掌の際は軽く摺り合わせますので、長数珠を用意するのがいいと思います。 |
ローソク | ローソクは心に灯す知恵と言われ、仏様の知恵をいただくためにあげます。 なお、他の人の「業」をもらう事になってしまうので、他の人のろうそくから火をもらってはいけません。 ローソクはお寺でも準備できますが事前に持参しても問題ありません。亀山ローソクなら大ローソクの1~2号がお薦めです。 |
線香 | 線香をあげるのは、仏様を香でもてなし徳をいただくための作法と言われています。 本数は1回の参拝で「身・口・意」の三密を表す3本をあげるようにしましょう。 線香もお寺で準備できますが事前に持参しても問題ありません。 |
灯香セット |
線香やローソク・ライターを入れておくものです。
「セット」と書かれていますが、線香、ローソク、ライターは別売なのでご注意を!! 巡礼だけでなく、お墓参りでも重宝すると思います。 |
ご利益をさらに深めたい方に
納経軸 (のうきょうじく) |
納経軸は、表装を施すと立派なものになり、子孫末代まで一家の宝物になると言われています。 納経帖や御朱印用白衣のように極楽浄土へ共にするものではなく、大事に保管するものです。 巡礼中、納経軸に御朱印をいただいている方も沢山おられました。 (納経軸についてはこちら) |
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御朱印用白衣 (びゃくえ) |
白衣(びゃくえ)は袖のあるもの、 笈摺(おいずる)は袖の無いものです。 御朱印用の白衣は判衣(はんえ)とも呼ばれ、 納経帳と同じように御宝印をいただきます。 満願すると、冥土へ旅立つ時の晴れ着として、死後にお棺に入れます。 また、御朱印用の白衣は「道中衣」として通常の参拝時に着用するのではなく、 「経帷子(きょうかたびら)」として扱います。 私の巡礼中でも納経軸とともに御朱印をいただいている方が沢山おられました。 |
写経(しゃきょう)用紙 |
本来、御朱印は参拝後に写経と納経料を納めた証として、納経帖へ記録していました。 現在でも、写経を納められる方々はおられます。 姿勢を正し、一文字一文字、丁寧に書き写すことで心の平静や集中力が培われます。 信仰を層深めるためにも写経されてはいかがでしょうか? |
御影帳 (みえいちょう) |
御本尊の分身である御影札(みえいふだ)を保管するのが御影帳(みえいちょう)です。 御影札は、各札所の納経所で当該寺院の御本尊を授与いただけます。(有料) |
服装・袋
四国八十八ヶ所巡礼だと、白衣に輪袈裟、手には持鈴と金剛杖、頭に菅笠といった服装 (サンプル) で巡礼されている方が多いですが、 西国三十三所巡礼では、そのような恰好の方はあまり見かけませんでした。 派手な服装は寺院の雰囲気からよくありませんが、普通の服装で参拝されればいいと思います。 稀に白衣や輪袈裟を着ている方々もいましたが、車で来られ駐車場で白衣を着ている方がほとんどです。 バスツアーの場合、数名の方々が白衣を着ていました。
笈摺(おいずる) | 白装束(しろしょうぞく)に身を固めるのは、個人を包み込み老若男女を消して一人の巡礼者になるためです。 しかし西国三十三所巡礼では、あまり見かけることはありませんでした。 バスツアーで巡礼されている方々は、比較的、白装束の方々が多かったですが、 マイカー巡礼の方々だと駐車場で白衣を着ているのを数回見かけたのみです。 電車などの公共交通機関を利用されている方は、どなたも白装束ではありませんでした。 |
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輪袈裟 (わげさ) |
首に掛けて用いる輪状の袈裟で、霊場礼拝の正装具です。インドの法衣の安陀衣が変形したものです。 巡礼中、輪袈裟をしている方はあまり見かけることはありませんでしたが、白装束の方々は輪袈裟を必ずされていました。 先達様と思われる方は、先達就任時に授与される輪袈裟をされていました。 |
菅笠 (すげがさ) |
現在では菅材だけではなく竹材やひのきなどの素材の笠が普及しています。 日除け、雨具に重宝する道具で、四国八十八ヶ所霊場巡礼のように白衣を着て歩いて巡礼される方には必需品だと思いますが、 西国三十三所では、普通の服装で巡礼することが多いため、見かけることはありませんでした。 |
持鈴 (じれい) |
巡礼に持参する鈴のことを持鈴といいます。 もともと持鈴は、徒歩での巡礼時の熊などの獣除けとして使っていました。 私の巡礼では持鈴を持っている人は見かけませんでした。 |
金剛杖 | 山道や階段では便利だと思いますが、あまり見かけませんでした。 ただ、観音様とご一緒にお参りする意味を込めてお持ちされる方もおられます。 |
納経帳 収納袋 | 納経帳を裸で持ち歩くのは少し気が引けますので、ご用意された方がいいと思います。 私も持っていますが、巡礼の時のみならず、納経帳を保管するのにも利用しています。 |
山谷(さんや)袋 頭陀(ずた)袋 |
山谷袋は頭陀袋とも言われます。 頭陀とは煩悩や欲望を払い仏道を求める修行のことで、修行僧が首からかけるのが頭陀袋です。 この中に納経帳、納札、経本、輪袈裟、白衣、念珠や線香・ローソクなど巡礼に必要な品をまとめて収納します。 巡礼後も、まとめて収納するようにしておけば、忘れ物もしないので便利です。 |
その他
巡礼で活躍している商品をご紹介します。
ランニングシューズ | お薦めのシューズです。普段は毎朝のジョギングで使用していたのですが、靴底が柔らかく疲れにくいので巡礼でも使用できるブラックを購入しました。1万円を超える商品が多い中、この靴は定価4500円でお求めやすいのでお薦めします。 |
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